文学研究科
児童文学専攻
(博士課程)

児童文学を体系的に学べる日本有数の大学院。

児童文学専攻は、児童文学を体系的に研究できる全国で有数の大学院です。博士前期課程2年、博士後期課程3年からなり、開講科目は伝承児童文学・日本児童文学・外国児童文学・児童文化の各領域があります。博士前期課程において修士論文を仕上げ、修士号を取得できるだけではなく、さらに博士後期課程に進んで学位論文を仕上げ、博士号の学位取得をめざすこともできます。
また、研究者をめざす人だけでなく、児童文学について体系的かつ専門的に学んで、教育や保育の現場、文庫活動の現場や図書館での実践に活かしたいという人、職場や子育てをしばらく離れて充電したいという人、定年後の人生を大好きな「子どもの本」と関わって過ごしたいという人、外国人留学生など、様々な人たちが集うプラットフォームです。社会人特別入試や長期履修学生制度、奨学金制度など、学びの環境をサポートする様々な制度も設けられています。

1992年開設の博士前期(修士)課程、1994年開設の博士後期課程からなる大学院文学研究科児童文学専攻は、児童文学が体系的に研究できる全国でも数少ない大学院のひとつです。
修了生には、さらに研究を続け、大学、図書館などでその専門性を発揮している人も少なくありません。

専攻主任市瀬 雅之

目標

伝承児童文学・日本児童文学・外国児童文学(英語圏)および児童文化の4つの分野から、大学院生各自が独自の主題を設定し、創作や伝達も視野に入れながら、研究を深めることを目標とします。

この専攻の特色

梅花女子大学図書館には児童文学のきわめて貴重・希少なコレクションが所蔵されており、内外の研究者から注目されています。そのコレクションを対象とした研究も大きな柱の一つとなっています。
大学院生、教員などを会員とする梅花女子大学大学院児童文学会は研究発表会を企画・開催しています。さらに、本学会では研究誌「梅花児童文学」を毎年発行し、大学院生の投稿論文も審査を経て学術論文として掲載しています。このように、この児童文学会は院生たちにとって切磋琢磨の場となっています。

カリキュラム[2022年度]の編成

分野のそれぞれに「研究・演習」と、「特殊講義(特講)」が配置され、その他に「児童文学原論」が開講されています。初年度は「研究・演習」1科目、および「児童文学原論」の8単位が必修で、選択した「研究・演習」の担当教員が指導教員となります。博士前期課程では、これ以外の科目の中から6科目24単位以上を選択必修とします。課程修了の要件は、本課程に2年以上在学し、所定の32単位以上を修得し、必要な研究指導を受けたうえ、修士論文の審査および最終試験に合格するものとします。 博士後期課程では、指導教員の指示により、「児童文学特別研究」Ⅰ~Ⅶのうち、いずれか1科目を選択し、指導を受けます。課程修了の要件は、本課程に3年以上在学し、所定の6単位を修得し、必要な研究指導を受けたうえ、博士論文の審査および最終試験に合格するものとします。

Pick UP

  • 児童文学研究・演習Ⅰ 1、2

    市瀬 雅之

    日本の児童文学・文化の研究

    日本の児童文学を対象に、各自の研究テーマに即して、修士論文執筆のための調査や読解、考察等を行います。

  • 児童文学研究・演習Ⅱ 1、2

    前田 久子

    日本昔話の研究

    日本において古くから語り伝えられてきた昔話について、その研究方法や資料の探し方、周辺の研究領域や様々な文献との関わりを考えるにあたっての基礎を学んでいきます。各自の研究テーマにそって、資料調査や分析・考察を行い発表してもらいます。

  • 児童文学研究・演習Ⅳ 1、2

    田中 裕之

    日本の児童文学作家・作品研究
    ならびに児童文化研究

    日本の児童文学を対象に、各自の研究テーマに即して、修士論文執筆のための分析・考察を行います。

  • 児童文学研究・演習Ⅴ 1、2

    近藤 眞理子

    英語圏の児童文学についての研究

    英語圏の児童文学についての研究方法を学んでいきます。

  • 児童文学原論 1、2

    近藤 眞理子、田中 裕之

    前期は児童文学史を踏まえ、その発展を作品で確認します。その上で児童文学とは何かを考えるための具体的な知識を高め,自分のテーマを発見することを目的とします。後期はテキストを相談して決め読んでいきます。

  • 児童文学特殊講義Ⅱ 1、2

    前田 久子

    日本昔話のうち、生まれた時に定められた子どもの運命のなりゆきを語る「運定め」の昔話を中心に取り上げ、その伝承の広がりや話型の変容について、古典説話や民俗との関わりなど、様々な視点から考察していきます。

  • 児童文学特殊講義Ⅳ 1、2

    市瀬 雅之

    日本の神話を題材に、児童文学として再話された作品を読みながら、その特徴を考察します。

  • 児童文学特殊講義Ⅴ 1、2

    近藤 眞理子

    英語圏の児童文学から主要な作品を取り上げ、様々な角度から考察することによって研究方法を学びます。

  • 児童文化特殊講義 1、2

    目久田 純一

    日本における児童観・児童文化の考究
    日本における近代以降の児童観・児童文化の変遷について検討します。児童文化に関する基本的な知識と考え方を獲得した上で、各自の興味関心に即した児童文化の論文や資料を読み解きます。

教員の紹介

教授市瀬 雅之

児童文学研究・演習Ⅳ 1、2
児童文学特殊講義Ⅳ 1、2
児童文学特別研究Ⅳ

日本児童文学-古典を題材とした再話の研究

教授近藤 眞理子

児童文学研究・演習Ⅴ 1、2
児童文学特殊講義Ⅴ 1、2
児童文学特別研究Ⅴ
児童文学原論 1

外国児童文学-ヴィクトリア朝英国小説・19世紀イギリス児童文学研究

教授田中 裕之

児童文学研究・演習Ⅳ1、2
児童文学原論 2
児童文学特別研究Ⅰ

日本児童文学-近現代の日本文学研究

准教授前田 久子

児童文学研究・演習Ⅱ1、2
児童文学特殊講義Ⅱ1、2

伝承児童文学-日本の昔話・伝説などの研究
日本古典文学-説話文学研究

准教授目久田 純一

児童文化特殊講義1、2

研究内容:教育心理学 ―道徳性と攻撃性の発達的研究―

修了生の声

FKさん(博士後期修了生)

修士時代は昔話「三枚のお札」を、博士時代は松谷みよ子の昔話の再話と創作を取り上げて研究を行いました。仕事をしながら、それも50代での院生生活スタートで、無事に論文を書き上げて修了できるのか常に不安でした。ですがご指導下さった先生方のおかげで、一つ一つの課題をこなしていくうちに学位取得まで進むことができました。先生方、院生仲間には本当に感謝しています。
六年間の院生生活を振り返ると、楽しくかけがえのないたくさんの思い出が浮かんできます。学会発表のため先生と関東の大学まで旅行気分でご一緒できたこと、家族皆が寝静まったあと眠気と闘いながら課題に取り組んだこと、学会誌に自分の論文が載って嬉しかったこと、研究を通して東北に多くの友人ができたこと……どれも大切な思い出です。自分の研究分野以外にも、海外の児童文学、絵本、古典など、さまざまな勉強をすることができ、いくつになっても「学ぶ」ことは楽しいということを改めて感じました。
私は普段ストーリーテリングや朗読、読み聞かせの仕事をしており、学んだことがすべて今後の仕事に活きているのも嬉しいことです。梅花でも講義を担当していますので、学ぶ楽しさをより多くの学生さんに伝えていくことも私の課題です。梅花で学び研究成果を修めることができたことを誇りに、これからも進んでいきたいと思います。