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スペース協会についてF.D.E.シュライアマハーについて

この著作リストについて :

この著作目録は、「批評版シュライアマハー全集」(第一〜第五部門)[※]の、既に刊行されている著作・講義・説教・翻訳・書簡類を、同全集に従いその巻ごとに列記したものである。なお第一部門には、便宜上、通し番号(1〜202)を付した。第五部門には全集版自体に1〜3560の書簡番号が付されている。

[※]
Friedrich Schleiermacher, Kritische Gesamtausgabe(KGA).
I. Abteilung, Schriften und Entwürfe.
II. Abteilung, Vorlesungen.
III. Abteilung, Predigten.
IV. Abteilung, Übersetzungen.
V. Abteilung, Briefwechsel und biographische Dokumente.
Walter de Gruyter, Berlin 1980-2018.


批評版シュライアマハー全集第一部門 (諸著述):

日本シュライアマハー協会

第1巻 [1983年]
  1787年から1796年にいたる青年期の著述
     ──(Nr. 1-19)
第2巻 [1984年]
  1796年から1799年にいたるベルリン時代の文書
     ──(Nr. 20-32)
第3巻 [1988年]
  1800年から1802年にかけてのベルリン時代の文書
     ──(Nr. 33-52)
第4巻 [2002年]
  1802年から1804年にかけてのシュトルプ時代の文書
     ──(Nr. 53-56)
第5巻 [1995年]
  1804年から1807年にかけてのハレ時代の文書
     ──(Nr. 57-64)
第6巻 [1998年]
  『神学通論』他
     ──(Nr. 65-70)
第7巻-1 [1980年]
  『キリスト教信仰 福音主義教会の諸原則に則った組織的叙述』(1821/22)第一版(上巻)
     ──(Nr. 71)
第7巻-2 [1980年]
  『キリスト教信仰 福音主義教会の諸原則に則った組織的叙述』第一版(下巻)
     ──(Nr.72)
第7巻-3 [1983年]
  『キリスト教信仰』第一版に対する傍注と付録
第8巻 [2001年]
  釈義関係の文書
     ──(Nr. 73-76)
第9巻 [2000年]
  1808年から1830年にいたる教会政治上の文書
     ──(Nr. 77-96)
第10巻 [1990年]
  神学・教義学の論文類
     ──(Nr. 97-104)
第11巻 [2002年]
  「ベルリン学術アカデミー」での講演類
     ──(Nr. 105-157)
第12巻 [1995年]
  『宗教論』第(2)-4版、『独白録』第(2)-4版
     ──(Nr. 158-163)
第13巻-1 [2003年]
  『キリスト教信仰 福音主義教会の原則に則った組織的叙述』(1830/31)第二版(上巻)
     ──(Nr. 164)
第13巻-2 [2003年]
  『キリスト教信仰 福音主義教会の原則に則った組織的叙述』(1830/31)第二版(下巻)
     ──(Nr.165)
第14巻 [2003年]
  1786年から1833年にいたる小品集とCD-ROM(1813年6月から9月の“Preußischer Correspondent”)
     ──(Nr. 166-202)
第15巻 [2005年]
  第I部門の索引
  付録「シュライアマハーの書斎──ラウフのオークション・カタログ、ならびにG.ライマー出版社の台帳に従った―」


第一部門の案内

1975年に編集が始まり、1980年に第7巻『キリスト教信仰』第一版を2分巻で刊行し、2005年に第15巻(索引・補遺他)の刊行をもって第一部門の作業が終了した。30年にわたって編集活動がなされ、ラテン数字1453頁(解説関係)、アラビア数字9720頁(本文)、合計11173頁を数える。

第一部門は13巻の予定であったが、15巻全18冊に拡大した。当初の第11巻( “Akademieabhandlungen und verschiedene Schriften”)は、”Akademieabhandlungen”に集中することになり、それに含まれる予定であった他の文書類は”Vermischte Schriften”として、新たに第14巻に収められた。これには生涯全般にわたる”Kleine Schriften”が収録されている。索引・正誤表・補遺のために第15巻が追加された。18冊となったのは、第7巻が3分巻、第13巻が2分巻で編成されたためである。

第一部門は、他の部門(説教、翻訳など)に属さない印刷刊行物が収められた。これには、これら印刷刊行物と関連する諸原稿、刊行の意図があったにもかかわらず公刊されなかった諸原稿も含まれている。

この第一部門は、彼の生涯の活動の節目に従って配列されている。第1巻は青年期(修学・家庭教師・副牧師時代)、第2〜第3巻はベルリンのシャリテ付牧師時代、第4巻はシュトルプでの牧師時代、第5巻はハレ大学教授・大学付牧師時代。第6巻以降は1808年から1834年の生涯を閉じる年までの ベルリン大学教授、三位一体教会牧師、王立アカデミー会員の時代を主たる内容としている。この第6巻以降は主題別に分類されており、『キリスト教信仰』第一版(第7巻)と第二版(第13巻)、『神学通論』他の大学での著述類(第6巻)、釈義的著述類(第8巻)、教会政治上の著述類(第9巻)、教義神学の著述類(第10巻)、アカデミーでの諸講演(第11巻)、そして、第12巻で『宗教論』(第2〜4版)、『独白録』(第2〜4版)、さらに第14巻で小著述を収める。第14巻では、1813年の6月から9月までの”Preußischer Correspondent”のCD-ROMが付されている。第15巻の索引巻には、ラウフの競売カタログとG・ライマーの台帳に基づくシュライアマハーの書斎目録が収蔵されている。各巻における文書はすべて時間順に配置されている。

第7巻は2分巻で『キリスト教信仰』第一版が収められているが、それに加えて、第3の分巻には、自らの著作の印刷頁の間に挟み込んだ用紙に、第一版が刊行後どのように受容されたのか、またそれに対する自己の判断を認めたメモが収められた。このメモは、それ以降のシュライアマハー像を規定してきた『キリスト教信仰』第二版への橋渡しとなるものである。第3分巻には、読者の便を図るための、膨大な引用文献の関連テキストもまとめられている(1983年)。

改訂された第2版を持つ著作(『キリスト教信仰』と『神学通論』)は、両版のテキストが収められている。『宗教論』第一版は第2巻に、『独白録』第一版は第3巻に収められ、第12巻は『宗教論』と『独白録』の改訂版(第2〜4版)を収めている。この巻は、両著ともに、第4版を底本にし、第2、3版での異同は注釈に記載されている。この『宗教論』であるが、前の全集版Sämtliche Werkeが、方針として、公刊された最終版を収蔵していたために、この最終第4版が19世紀の諸論議を規定したが、1899年の初版刊行100年を記念して出されたR・オットー校訂による第一版が20世紀の諸論議を規定することになった。ハレ時代の著述を収める第5巻には、神学的・詩的著作『降誕祭』の初版(1806年)が収められ、1826年第2版との異同については注釈に記載されている。

(この項:MM)

参照: Günter Meckenstock, Schleiermacher-Forschungsstelle und Kritische Schleiermacher-Gesamtausgabe in Kiel, in: Christiana Albertina, Forschungen und Berichte aus der Christian-Albrechts-Universität zu Kiel, Heft 80, Mai 2015, S.68-69.
Friedrich Schleiermacher, Kritische Gesamtausgabe. Die vorliegenden Bände, in Leinen. Übersicht von Günter Meckenstock, Stand 7. Mai 2018.


批評版シュライアマハー全集第二部門(諸講義) :

第2巻 [印刷準備中]
  「神学諸科解題」講義
第4巻 [2012年]
  「解釈学と批評」講義(2012年)
第6巻 [2006年]
  「教会史」講義
第8巻 [1998年]
  「国家論」講義
第10巻-1 [2002年]
  「弁証法」講義(上巻)
第10巻-2
  「弁証法」講義(下巻)
第12巻 [2017年]
  「教育学、公教育についての所見」講義
第13巻 [印刷準備中]
  「心理学」講義
第15巻 [印刷準備中]
  「イエスの生涯」講義+「四福音書による受難と復活の物語」講義
第16巻 [2005年]
  「教会地勢学と統計学」講義


批評版シュライアマハー全集第三部門(説教) :

第1巻 [2012年]   説教集「第1〜第4集」(1801-1820年)
  付録、メッケンシュトック「伝えられているシュライアマハーの説教暦リスト」
第2巻 [2015年]
  説教集「第5-第7集」(1826-1833年)
  付録、「福音主義教会の礼拝のための讃美歌集」(ベルリン、1829年)
第3巻 [2013年]
  「説教集成1790年-1808年」
第4巻 [2011年]
  「説教集成1809年-1815年」
第5巻 [2014年]
  「説教集成1816-1819年」
第6巻 [2015年]
  「説教集成1820年-1821年」
第7巻 [2012年]
  「説教集成1822年-1823年」
第8巻 [2013年]
  「説教集成1824年」
第9巻 [2017年]
  「説教集成1825年」
第10巻 [2016年]
  「説教集成1826年-1827年」
第11巻 [2014年]
  「説教集成1828年-1829年」
第12巻 [2013年]
  「説教集成1830年-31年」
第13巻 [2014年]
  「説教集成1832年」
第14巻 [2017年]
  「説教集成1833年-1834年」
第15巻 [2018年]
  第III部門の索引


第三部門の案内

KGA第三部門「説教」は、2018年に第15巻(総索引)を刊行し、完結した。第14巻までの本文の総頁数は13,437頁にのぼり、1,525の説教テキストを収録している。今回初めて公になった説教テキストは928にのぼり、全体の三分の二を占める。

第三部門編纂の事情であるが、もともと1980年のKGA第五部門(書簡)編集の際にベルリンのde Gruyter社資料庫に保管されていた10,000枚あまりの未整理資料が確認されていた。この膨大な手稿類は、1995年以降、キールのシュライアマハー研究所でG. Meckenstockが主導してその整理作業が進められてきた。それを土台にして、2003年に第三部門(説教)の編集作業が開始され、最初の5年間に、分類、デジタル化がなされ、2008年には第4~7巻の編集作業が始まり、2011年にまず第4巻を刊行した後、予定どおり2017年に第14巻を、2018年に索引巻を刊行して完結することになった。当初には 12巻編成各巻600頁ほどの分量が予想されたが、2011年には計画の変更と拡大がなされ、2巻を分割、追加して最終的には14巻とし、各巻平均1,000頁近くの規模になった。

この第三部門には、三様の由来を持つ説教テキストが収められている。①1801年から1833年にかけて印刷刊行された計258の説教テキストを含む7冊の説教集(1801/1808/1814/1820/1826/1831/1833年)。②1790年から始まるシュライアマハーの自筆原稿・草稿・メモとして残された454の説教テキスト。③1809年以降のベルリン時代に集中する813にのぼる礼拝会衆による説教筆記録である。①は第1~2巻に、②と③は第3~14巻に収録されている。このしばしば断片にとどまる②と③に関しては、双方の突き合わせ、確認された17名の筆記者ないしは原稿所有者相互の比較参照、書簡、ベルリンの教会公文書、三位一体教会の年間行事予定、主題聖句の相互参照・特定などを通して統一的な把握が可能になった。第1巻の付録には、シュライアマハーのなした説教暦(Kalendarium der überlieferten Predigttermine Schleiermachers)、第2巻の付録には、1829年にベルリンで公になった福音主義教会の礼拝用讃美歌(Gesangbuch zum gottesdienstlichen Gebrauch für evangelische Gemeine, Berlin 1829)が収められている。

従来、日本では、シュライアマハーはキリスト教を含む宗教一般の本質を追究した理論家、弁証法や倫理学を通して構想された一般諸学の体系を背景としつつキリスト教神学を近代的に再編した神学思想家、プロイセンの教会合同運動を推進した教会政治家、19世紀ドイツの大学ならびに教育改革の担い手、近代的な教育学、解釈学の唱道者、プラトンの古典的翻訳者として知られてきた。しかし同時に、シュライアマハーは生まれながらの雄弁な語り手であり、それは青年期から生涯の最期にいたるまで継続して担当した説教壇に如実に現れている。1790年の第一神学試験の際の課題説教に始まり、1794年からのランツベルクの代務牧師(Hilfsprediger zu Landsberg an der Warthe)、1796年からのベルリンのシャリテ付牧師(Prediger an der Charité in Berlin)、1802年からのシュトルプでの宮廷牧師(Hofprediger in Stolp/Hinterpommern)、1804年からのハレ大学付牧師(Universitätsprediger in Halle)、そして1808年から生涯を閉じる1834年までの間の三位一体教会改革派担任牧師(Prediger an der Dreifaltigkeitskirche)として、実に40年を超えてシュライアマハーは説教壇に立ち続けた。これまでに確認されたシュライアマハーのなした説教の回数は3,556にのぼり、全集に収録された説教テキスト(1,525)、またその間の日曜日の回数をはるかに凌駕している(彼は主日礼拝以外に早朝礼拝、午後の礼拝、種々の記念礼拝なども担当した教会担任牧師であった)。とりわけ名声を博したベルリン後半の時代には、1,600席を有する三位一体教会を満堂にして説教を続けたのである。ちなみにこのベルリンでは、神学部教授、ベルリン王立学術アカデミー会員、三位一体教会牧師の三つの職務を持ち、神学の講義、アカデミーでの講演、またアカデミー会員の権利を行使して大学では哲学の講義をも担当した。

シュライアマハーの思想については、キリスト教を含む宗教の理論、諸学と神学との関係など形式的な構成を持つ理論体系への関心が強いが、今後、彼の説教の研究を通してそのキリスト教信仰の実質をめぐる検討もさらになされていくことになろう。

(この項:MM)

参照:
F.Schleiermacher, Kritische Gesamtausgabe, III.Abt., Band 15, Register zur III. Abteilung, Vorwort, Berlin 2018.
Meckenstock, G., Schleiermacher Forschungstelle und Kritische Schleiermacher-Gesamtausgabe in Kiel, in: Christiana Albertina. Forschungen und Berichte aus der Christian-Albrechts-Universität zu Kiel, 2015 Kiel, S.56-77.
Friedrich Schleiermacher, Kritische Gesamtausgabe, die vorliegende Bände, in Leinen(Übersicht von Günter Meckenstock, Stand 7.Mai 2018).
Ohst, Martin(Hg.), Schleiermacher Handbuch,Tübingen 2017,(参照: R. Preul, P. Grove, A. Beutel, S. Gerber,A. Reichs 執筆の教会関係ならびに伝記的記述)


批評版シュライアマハー全集第四部門(翻訳) :

第1巻 [印刷準備中]
  「ヒュー・ブレア『説教集第4-5巻、1795年-1802年』」
第3巻 [2016年]
  「プラトン著作集I,1(1804年、1817年)


批評版シュライアマハー全集第五部門(書簡・伝記関係文書) :

第1巻 [1985年]
  「往復書簡1774年-1796年(書簡番号1-326)」
第2巻 [1988年]
  「往復書簡1776年-1798年(書簡番号327-552)」
第3巻 [1992年]
  「往復書簡1799年-1800年(書簡番号553-849)」
第4巻 [1994年]
  「往復書簡1800年(書簡番号850-1004)」
第5巻 [1999年]
  「往復書簡1801年-1802年(書簡番号1005-1245)」
第6巻 [2005年]
  「往復書簡1802年-1803年(書簡番号1246-1540)」
第7巻 [2005年]
  「往復書簡1803年1804年(書簡番号1541-1830)」
第8巻 [2008年]
  「往復書簡1804年-1806年(書簡番号1831-2172)
第9巻 [2011年]
  「往復書簡1806年-1807年(書簡番号2173-2597)」
第10巻 [2015年]
  「往復書簡1808年(書簡番号2598-3020)」
第11巻 [2015年]
  「往復書簡1809年-1810年(書簡番号3021-3560)」

注釈第1巻
  「往復書簡1808年-1810年(書簡番号2598-3560)の注釈」


批評版全集の全貌と刊行状況(2018年5月) :

以下をご参照ください。
KGA, die vorliegenden Bände, in Leinen und noch zu edierenden Bände

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