第11回あたらしい創作絵本大賞 審査結果

 第8回あたらしい絵本大賞

たくさんのご応募ありがとうございました。募集終了しました。
今回、新型コロナウィルスの影響の影響で、審査員が同じ会場に集まって審査する方法がとれませんでした。
候補作品をスキャニングし、デジタルデータで作品を確認しました。
また、メールで1週間かけて審査を行いました。
表彰式・合評会は、11月に行います。
第11回あたらしい創作絵本大賞 表彰式と合評会のお知らせ
ただし、新型コロナウィルスの影響で中止する可能性もございます。ご了承下さい。


各賞の審査結果は以下の通りです。

大賞  なし

■優秀賞 2作品
「あのやまこえてがっこうへ」かめい あきら


「いいもんみーつけた」オカジマ サエ



佳作 5作品
「もちリンピック」村上 菜々
「ポスポスゆうびんでーす」福本 恵子
「ちょこっとしんぱい ポポンのおとどけものやさん」toumo
「りんごむし」ちから
「はじめてかいたおはなし」竹島 亜紀子


■特別賞
「アルパカのそらくん」増山 二葉


■おしくも選外
「ムータン」たかはし けいこ
「ぼくのともだちはロボット」とみた ゆうへい
「まっさらかっぱのごりらさん」にしあみ れお
「うさぎのもりのまっくろけ」かもっち
「こぐまのくぅときのこポスト」わだ てるこ / いかど さちか

作品選考の際には、審査を公平にするため、作者プロフィールは確認せず、作品のみを読んで審査しています。

審査員総評(50音順)

長野ヒデ子
コロナの影響で、原画を拝見できずデータのみでのメールの審査となり大変でした。
原画の持つ力が拝見できないことの残念さがあり、応募者の方々に申し訳ない気がしました。
しかし、絵本として出版されるときは、データー化され色が分解されて印刷されるので、原画の味わいはすべては伝わりません。
このコンクールは出版を前提にあるので、出版された状態で審査できたことは、新しいあり様な気がしました。製本された時の感じが伝わる選考でした。
選考にあたり全体的に原画から伝わる迫力が失われて、作品全体から伝わる物足りなさが感じられ「絶対にこれ!」というのがなく残念でした。それは本として出版された時の雰囲気がよく伝わり、この作品に何が足りないのかが見つけやすいのです。そのためかいつもよりも厳しい審査になっていたかもしれません。応募者にとっては本になり出版されるという厳しさをもろに受けたと思います。選に漏れたとがっかりしないでください。そのことが今後のあなたを大きく育ててくれます。
これをステップに新たに挑戦してください!
応募作品は、さらに推敲するといい絵本になるのになあ、惜しいなあ、という作品ばかりのように思いました。
そんなことで大賞に輝く作品がなく残念でしたが未来に楽しみが増えました。それはさらに挑戦してくださることを期待しているからです。
優秀賞の2点は両極端に作風のタイプの違う作品でどちらも面白いのですが、絵本はテキストのもつ深さがもっとも大事です。
それは笑いをとるものであれ、心に訴えるものであれ、絵で勝負するものであれ皆同じなのです。
そこが残念ながら、どちらももう一つ足りなく惜しかった。
そしてタイトルは本当に大事です。タイトルに引っかかっる作品も多くありました。タイトルは作品の核となるのです、大事にしてください。
小学生が描いた作品「アルパカのそらくん」は、なかなかの力作でしたよ。
どうぞコロナに負けないで皆さん来年を楽しみに、さらにいい作品を期待しています。


みやざき ひろかず
絵はすばらしいのに、お話が残念な作品が多かった…というのが今回の印象です。絵がとくに素敵だと思ったのが「あのやまこえてがっこうへ」と「りんごむし」。とくに「あのやまこえてがっこうへ」の絵は個性的で楽しい。大賞にふさわしい絵に思えたのですが、お話がついていけませんでした。この絵が生きるようなお話だったら…と思うとほんとうにもったいない。「いーもんみーつけた」の作者はしっかりした画力をお持ちです。「りんごむし」は絵を見ているだけでよい気分になれます。主人公にもっと魅力が欲しいし、お話に読者が入り込めません。「もちリンピック」は楽しいのですが、切り絵にもっと躍動感がほしい。「はじめて書いたおはなし」は、よくできていますが、こどもが描いた絵がもっと子供らしい絵だったらよかった。「ちょこっとしんぱい ポポンのおとどけものやさん」はいい人ばかりが出てくるので、ワクワク感に欠けますが、全体に暖かい空気がよいですね。「ポスポスゆうびんでーす」は絵に新鮮さがほしいです。


宮下 恵茉
全体的に小粒で突出した作品がなく、テーマを前面にだしすぎている作品が多いなと感じました。伝えようとしていることはわかるけれど、どこかお説教臭いというか、説明っぽいというか……。『読んで楽しい』がもっと大切にされるといいなと思いました。
個人的にいいなと思ったのは、「もちりんピック」、「いいもんみーつけた」、「ちょこっとしんぱい ポポンのおとどけものやさん」の3作品です。「もちりんピック」はおもちのオリンピックというアイディアがおもしろく、「いいもんみーつけた」は絵が個性的で印象に残りました。「ちょこっとしんぱい ポポンのおとどけものやさん」は絵もお話も可愛らしく、安心して読むことができました。
しかたのないことですが、今回は新型コロナウィルスの影響で、応募されたみなさんが一生懸命描かれた作品を原画で見ることができなかったのがとても残念でした。


創作絵本大賞 事務局
絵と物語の完成度が高い作品が多く「大賞作品が選びにくいかも」と喜んだのですが、逆に「大賞作品なし」という結果になり残念でした。そのかわり、優秀賞2作品を選ぶことになりました。応募作品は、書き直したのちに出版するのですが、作者がどこまで出版レベルの書き直しができるのかが、応募作品を読んだだけでは判断しにくかったのもあります。また、原案・原稿の改作作業は、書き直しと呼べる範囲なのか。優秀賞・佳作に選ばれた作品は、どれも、完成度は高かった。ですが、どれもが、出版するには、なにかどこかが足りない作品でした。
また今回「アルパカのそらくん」を特別賞にしました。「絵本を読む楽しさが理解できている、ユニークな作品だな」と思って応募票をみると作者は小学生。賞状のみで賞金はありませんが、将来が楽しみです。

残念ながら選にもれた「ムータン」は伸びやかな線やユニークな展開が良かったです。ただし、赤ちゃん絵本に近く、当コンテストの読者ターゲットから少しずれているのが残念。幼児向けの絵本を期待しています。
「ぼくのともだちはロボット」は、物語に個性が欲しかった。現代なのか過去なのか近未来の話なのか、いまひとつ理解しにくかった。ロボットだけでなく日々進化するテクノロジーを絵本に取り入れる難しさを感じました。入れるなら大胆な解釈と表現が必要だと思います。
「まっさらかっぱのごりらさん」は、ことば遊びの面白さがあったが、遊びきれていないもどかしさが残念でした。「うさぎのもりのまっくろけ」は、うまくお話がまとまっていたが、展開に既視感がぬぐえない。個性的な展開を望みます。「こぐまのくぅときのこポスト」は、前半の展開のよさが、途中で息切れで残念。最後まで客観的に推敲しきる力を持って欲しいです。

主催:梅花女子大学
共催:梅花女子大学児童文学科・こども学科同窓会、アミーニ(運営・事務局)
協賛:株式会社未来屋書店


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