第1回あたらしい創作絵本大賞 審査結果

第1回あたらしい創作絵本大賞の結果が発表されました。
今回は、大賞該当がなしということもあり、優秀賞が2作えらばれました。

■大賞 該当なし

■優秀賞 2作品 
『ぶたとおちゃんのかえりみち』 いなおか ときこ

●プロフィール
 1984年東京生まれ東京在住。小さい頃、近所のお絵かき教室に通い、すてきな先生と出会う。両親が、よく絵本をよんでくれたり、お話をしてくれ、むかしから本がだいすき。高校卒業後、保育の専門学校に通い、絵本とあらためて出会う。卒業制作では、初めて絵本を描く。
 その後、保育園で3年ほど働き、まいにち子どもと色んな絵本をよんでいるうちに、ますます絵本が好きになる。2008年4月、保育園を辞し、東京・築地にある、パレットクラブ絵本コースで1年間まなぶ。現在は、絵本をメインに版画(紙版や木版)など制作している。好きなこと、散歩、つくること、ピアノ、三線。好きなひと、スズキコージ、ジョン・バーニンガム、井上洋介、ガース・ウィリアムス…ほかたくさん!

●受賞コメント
 この度は、賞をいただきましてありがとうございます。こうして「ぶたとおちゃん」が読んでもらえ、好きになってもらえて、嬉しい気持ちでいっぱいです。
「ぶたとおちゃん」は、散歩みたいな絵本が描きたいな、と思い描いた絵本です。ゆったりとした時間、景色とそこにいる人々やものなどを読んでくださる方に楽しんでいただけたらと思います。
 今回、審査員の先生方にいただきました講評を今後に生かし、よりよい作品を描いていきたいです。本当にありがとうございました!


『スキナモノ』 木村 智博

●プロフィール
 1973年生まれ。宝塚造形芸術大学大学院造形研究科修了。CGアーティスト。1997年 オペルデザインコンテスト’97、スカラシップ賞、MdN賞。1997、2002年度、東レDCA、最優秀賞。2003年文化庁メディア芸術祭5点の組作品で審査委員会推選作品に選出。等 大阪府在住
http://kimura.gogo.tc/

●受賞コメント
 この度は、優秀賞に選出して頂き、本当にありがとうございます。3年前に子どもが生まれて家族の大切さをあらためて感じ、それを絵本という形で残しておきたいと考えたのが、この「スキナモノ」をつくるきっかけです。全体としてのストーリーはつくらずに絵でみせるという考えで制作したため、リズム感がなくなり全体の流れがつくれなかったのが反省点です。今後、これをきっかけに、また新しい絵本の制作につなげていければと思います。


■佳作 5作品
『でんでん でんこちゃん』 いはた れいこ
『みえーる めがね』 ささき ひろこ
『かもめのギーヨ』 竹内 香ノ子
『グ〜グ〜グ〜ドス!ドス!ドス!』 三幣 真代
『モモいろモモス』 神田 誠一

■上記以外の 最終候補作品
『走る帰り道』はまだ かずまさ
『ふーわちゃん』あきの ふう
『くるみちゃんとももかちゃん〜はるよこい!〜』大宮 典子

.

審査員総評

富安 陽子
  第1回の審査を終えて、絵と文章両方の水準を兼ね備えた作品を成立させるのは本当に難しいものなんだなと実感しました。絵に十分力があっても、物語の構成や文章の展開が稚拙であったり、発想は面白いのにそれを視覚化する絵のスキルが低かったり…。
 優秀賞に選ばれた二作品は、それぞれ魅力的で新しい可能性を感じさせるものの、絵本の水準に一歩およばず、ということで大賞は見送られました。今後のお二人の成長に期待します。 

長野 ヒデ子
  第1回で楽しみの選考でした。どの作品からも熱心な思いが伝わってきますが、大事なものを取り残したり、入れすぎたり、整理されてなく、お話はいいのに絵が残念とか惜しいのが多かった。『ぶたとうちゃんのかえりみち』は絵がたのしく、ぐんぐん引きつけられたのですが、後半からガクンと力抜けた展開でおしい。『スキナモノ』は質の高いイラストなのにプツプツ切れる。絵に連なりがあると、さらに物語が生まれ、ぺージをめくるリズムも生まれて絵本の展開になってゆくのにもったいない。そこがデザインと絵本とは違うところと思う。『でんでんでんこちゃん』は発想がたのしかった。

みやざき ひろかず      以上50音順
 大賞が選べなくて残念です。『スキナモノ』はグラフィックの完成度は高いのですが、やはり全ページを通してのお話がほしいのと絵の素材の多くが既成の品物で構成されているのが物足りなく思えます。もっと驚くようなイメージの世界を見せてほしい。『ぶたとおちゃんのかえりみち』は味わいのある絵、のどかな世界が素敵です。人物の表現やお話の構成がもう少し上手になるととっても良くなると思います。

高科 正信
 どんな絵本に出会えるか楽しみにして読みましたが、大賞に推せる作品はありませんでした。描きたいテーマ、魅力的な絵、物語性に富むテキストが揃って絵本です。三つのどれが欠けても、おもしろかった、とはなりません。自分が表現したい絵本の世界は何かを熟考してください。絵は山ほど描いて、文は山ほど書き直してください。胸にしみいる絵本、とんでもなくバカバカしい絵本、待っています。いなおかときこさん、さらなる精進を。
.

・プライバシーポリシー